住めば都

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といっても、住居のことではない。

Intel vs AMD、Windows vs Linux、Norton Antivirus vs ウイルスバスター vs McAfeeなど、IT界にかぎらないが、世の中にはこういった競争があふれている(CyrixやTransmeta、MacOSや超漢字などもあるぞというのはこの際おいといて(ぉ))。そういった競争におけるエンドユーザー側の意見は普通どちらかに偏ったりせずに分かれるものだ。

つまりある人は「○○という製品は~の点において優れていて、さらに~である。一方△△は~で劣っているし~ではない」と言ったとすると、違う人は「しかし△△には~がある。しかも○○には~という欠点があるじゃないか。やはり△△のほうが優れている」と言う。当然各社もベンチマーク(別にIT系にかぎらず、製品性能テストと言う意味)などで明確に優れているのをアピールしようとするが、ベンチマークや製品の設計コンセプトや重点の違いなどからどちらが優れていると白黒つけがたいことが多い。

では結局何が勝敗を決めるのか。いくら製品自体の性能の優劣が白黒はっきりつかないと言っても、やはり普及率や利益(同じようなものか?でも普及率は高いが薄利多売したため利益が低くなると言う可能性はある)という形で決着がつく。その理由を私なりに短考してみる

・価格
いくら10倍の性能でも値段が10倍だと買えないこともある。やはり安いと売れやすいがそれなりの理由があったりする。性能がいいと高くなる。関連:要求、サポート

・要求(ニーズ)
要求のない機能はいくらつけても無駄なことが多い。逆に要求があればどんなに高価でも売れたりする。関連:価格、時期

・先入観(イメージ)
一度いいと思い込んだらなかなか揺るがないもの。第一印象は重要である。最初で躓くとあとがつらい。一旦できあがったイメージは良くも悪くもなかなか消えないものだ。関連:信頼

・サポート
購入前後の質問、故障時の修理や新製品の優待販売など。最近ではインターネットセットアップやウイルス駆除などもある。関連:信頼、価格

・信頼
故障が少ない、耐久性がいい、サポートが充実など。しかし昔はよかったが今はだめとか、その逆といったこともある。

・維持
一度獲得した客を競合他社に逃がさない。このために多少強引なやり方をするところもあるとか。しかしそのために信頼を失っては意味がない気がするが・・

・標準化
国際標準、日本標準などの標準規格に採用されると一気に普及する。また、正式な標準でなくても事実上標準(デファクトスタンダード)になると同様の効果。関連:時期

・時期
早くても遅くてもだめ。ちょうど良い時期であればうまくいけばデファクトスタンダードになったりするかもしれない。

関連が一方しかないとか、まだ項目が足りないとか突っ込みどころ満載だが、その辺は置いといて、この中で特に効いてくるのはなんだろうか?特に同じような製品があり、価格も近く、要求や時期も合っている場合、やはりイメージがかなり重要なのではないだろうか。たとえば「○○は優れている」と言う人は、その製品に対して良いイメージを持っているはずだ。一方「○○はだめだな」と言う人はその製品に対して悪いイメージを持っているはずだ。しかし、物は同じはずなのに一体どうしてそんなことが起きるのだろうか?そりゃ、悪く言う人は偶然不良品にあたったと言う可能性もある。しかし、悪く言う人全てが不良品に当たるぐらい不良率が高い製品など作っていてはたちまち倒産してしまうだろう(昔のソ連のテレビじゃないんだから・・爆発したらしい)。全てが完璧な製品などないはずだから、おそらく良い所と悪い所があり、肯定派(優れていると思っている)の人は良いところを、否定派(劣っていると思っている)の人は悪いところを強く感じているのだろう。例えばある製品が「性能は良いが消費電力が大きく、デザインは良いが大きすぎる」と言うものであった場合、良いところは「性能が良い、デザインが良い」で、悪いところは「消費電力が大きい、大きさが大きい(変な日本語だな・・まあいいか(ぉ))」ということになる。これに対してとあるAさんは

性能が良い・・・+60(この速さは私に必要だ)
デザインが良い・・・+40(たしかにかっこいいデザインだ)
消費電力が大きい・・・-20(まあこのぐらいは許容かな)
大きい・・・-10(大して問題にならないな)
合計・・・+70(良い製品だ)

と評価を下したとする。一方別のBさんは

性能が良い・・・+20(たしかに速いが、ここまでは必要ない)
デザインが良い・・・+5(悪くはないが、そこまでいいとも思えない)
消費電力が大きい・・・-80(家計が火の車なのに電気代にこんなにかかるとは)
大きい・・・-70(部屋が狭くて寝れない・・ビ○ォーアフ○ーたのもうかな(ぉ))
合計・・・-125(だめだな、こんなく○品)

と評価を下したとする。つまり、人によって同じメリット、デメリットに対しての感じ方や考え方が違うと言うことだ。まあ、こんなのは当たり前なのだが、実は巧妙に仕掛けられた罠がある。それは「思い込み」と「住めば都効果」である(やっとタイトルの意味不明な言葉にいけたな(ぉ))。思い込みというのは、その製品を作っている会社や、前のバージョンの製品が良かったので、次もいいだろうと思い込んで買ってしまうということだ。そして、もし期待を裏切られても、住めば都効果によってなかなか他社の製品に移行できない(あるいはしない)と言うことが起こったりする(特にPCのOSやアプリケーションに多い)。住めば都というのは、元は「どんなさびしい田舎や不便な所でも、住み慣れれば住みよくなって、離れにくいものだということ。(Kokugo Dai Jiten Dictionary. Shinsou-ban (Revised edition) ©Shogakukan 1988/国語大辞典(新装版)©小学館 1988)」という意味だが、ここでは「どんな製品であっても、使い慣れるとなかなか他のものに変えにくいもの」という意味である。その変えにくい理由としては

・自己説得
・過去の資産、互換性
・変化への恐れ
・移行のコスト(時間的、経済的)
・信頼

などがあるだろう。自己説得と言うのは、先ほど上げたAさんBさんのような評価が、長く使っているとだんだん肯定的なほうに傾いていく(自分に「この製品はいいよな~」と説得をかける)ということである。やはり「悪い製品を使っている」と思うより「良い製品を使っている」と思ったほうが精神的に楽であるからだろう。過去の資産というのは、その製品のためのオプション機器、その製品で作り出した生産物などが、他のもの(他社製品に限らず同社の違うバージョンというのもある。たとえばWindows98とWindows2000など)に変わることによってその一部あるいは全部が使えなくなってしまうために移行できないというものだ。変化への恐れというのは、明確な根拠など何もないが、もしかしたら互換性問題が発生するのではないか、コストが以上に高いのではないか、あるいは以前に一度やってみたが失敗したのできっと今度も失敗するといった先入観を抱いてしまうことにより移行しづらくなるというものだ。コストに関しては、経済的なものはもちろん、時間的なものもある。移行したほうが長期的には低コストであっても、いますぐ移行できる資金がないという場合も多い。信頼というのは、いままで安定して動いてきたものを、性能は優れているが稼動実績のないものに移行してもしものことがあれば取り返しが付かなくなる場合もある(これは、変化への恐れと関連がある)。特に銀行や医療などのクリティカルなシステムの場合はなおさらだ。これらの影響を総括して、私は「住めば都(効果)」と呼んでいる。

私自身、Linuxのすばらしさを感じつつもWindowsを使い続け、セキュリティホールがあるだとかS.P.A.M(SPecial Annoyance Message。勝手に作った造語(ぉ))メール対策がいまいちだとか言われつつもOutlook 2000(2003とかではなく)を使い続け、タブブラウジングもないしURL詐称やらActiveXセキュリティホールやらが問題になっていてもIE(これは4.0とかいうことはなくて6.0SP2)を使い続けている。これもやはり「住めば都効果」によるものだろうと私は思う。AMDの大容量L1や3DNow!+も、IntelのHTTやSSE3も、必要な人には必要、いらない人にはいらない。爆熱爆消費電力も気になる人には気になる、ならない人にはならない。コア欠けや焼き○(○はいろいろ)も、やっちゃった人には大事件で後々まで悪印象を残すが、やっちゃってない人には対岸の火事で印象も薄い。以上、いろんな批評を見て思った雑感でした。

で、いつもこの最後に茶化しを入れてたりするんですが、今回はなしということで。
AMD万歳!(ぉ)でもPenM手ごわいからな。いっそIntelも買収して((ぉ)。でも他の会社買収してAlchemyとかGeodeとか出してるし、ライブドアみたいに敵対的買収・・ってアメリカじゃポイズンピルとかゴールデンパラシュートとかあるから無理か)Athlon M出してくれ。コードネームはMiyage(新コアPentium M→Dothan→どさん→土産)で